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医療用粘着製品に関連する皮膚トラブル

手術室では抜けてはいけないチューブ・カテーテルの固定や、剥がれてはいけないサージカルドレープや対極板など、粘着力の強い医療用粘着製品が多く使用されています。
さらに加齢やステロイド薬の使用などによって皮膚が脆弱になっていると、医療用粘着製品を使用した際に皮膚トラブルが起きやすく注意が必要です。
医療用粘着製品による皮膚トラブルを回避するために、手術室における皮膚トラブルとその要因、医療用粘着製品の製品特性や適切な貼り方・剥がし方に加え、スキンケア製品を使用した対策、手術室での選択のポイントについて解説します。

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手術室で看護師が遭遇する皮膚トラブルの原因は?

35%が医療用粘着製品による皮膚トラブル
 

手術室ではどのような皮膚トラブルが発生しているのでしょうか?
このグラフは、2024年にソルベンタムが手術室に勤務する看護師351名に対して行ったアンケートの結果です。
「医療用粘着製品による皮膚トラブル」が35%で最も多く、「圧迫やズレによる褥瘡やMDRPU」、「消毒薬などの化学物質による皮膚トラブル」が続きます。
「皮膚トラブルに直面することはない」方も1%いらっしゃいましたが、多くの方が何らかの皮膚トラブルの経験があり、その多くが、医療用粘着製品に関連していることがわかりました。

手術室で看護師が遭遇する皮膚トラブル調査のグラフです

医療用粘着製品による皮膚トラブルの部位とその要因

一般的に、医療用粘着製品による皮膚トラブルの要因は、大きく分けて2つあると言われています。皮膚トラブルの原因を知ることは、適切な対策につながります。

 
物理(機械)的刺激による皮膚トラブル
 

貼付部位とその近傍に発生する皮膚トラブル
a. 粘着製品の辺縁に水疱(緊張性水疱)
b. 粘着製品の辺縁にスキン-テア
c. 粘着製品貼付部位に一致した発赤、かゆみ 等

 
 
化学的刺激による皮膚トラブル
 

①刺激性接触皮膚炎
粘着製品貼付部位に一致した発赤、かゆみ 等


②アレルギー性接触皮膚炎
粘着製品貼付部位を超える範囲に発赤、膨隆、かゆみ 等

周術期の皮膚トラブルとその主な要因

粘着製品の貼付時や手術中に受けたの刺激によって術後、様々な皮膚トラブルとして発見されることがあります。

周術期の皮膚トラブルとその主な原因の一覧表です

※ 浸軟は可逆的な変化です。
※ 浸軟はそのほかの皮膚トラブルの素地となるおそれがあります。
※ 複数の要因が関連して、複雑な発生機序によって皮膚トラブルが発生することがあります。

手術室での勉強会にてお使いいただける資料

「手術室における皮膚トラブル対策」勉強会資料

手術室では、抜けてはいけないチューブ・カテーテルの固定や、剥がれてはいけないサージカルドレープや対極板など、粘着力の強い医療用粘着製品が多く使用されています。
医療用粘着製品による皮膚トラブルを回避するために、本資料では手術室における皮膚トラブルとその要因、医療用粘着製品の製品特性や適切な貼り方・剥がし方に加え、スキンケア製品を使用した対策、手術室での選択のポイントについて解説しています。

勉強会資料の内容:
<医療用粘着製品に関連する皮膚トラブル>
・手術室における皮膚トラブルとその要因
・医療用粘着製品の適切な貼り方・剥がし方
・手術室での剥離剤・被膜剤選択のポイント
・スキンケア製品を使用した対策
(再生時間:約20分)

※ 動画の一部をご覧いただけます。

物理(機械)的刺激への対策

医療用粘着製品の物理(機械)的刺激による皮膚トラブルは、患者要因、製品の特性、使用方法の3つの要因により発生します。
患者要因としては加齢や疾患、病態などにより皮膚が脆弱になることで、皮膚トラブルを起こしやすい状態となります。
また、製品の特性として、手術室では手術中に製品が剝がれないように強粘着製品が選択されることが多いため、剥がす際に皮膚に負担がかかり皮膚トラブルを起こすことがあります。
以下の適切な使用方法により、皮膚トラブル発生の軽減が期待できます。

物理的(機械的)刺激による皮膚トラブルの3要因のイメージ画像です

医療用テープの貼り方・剥がし方基本テクニック

3M™ アイオバン™ インサイズドレープ(紙ライナータイプ)の貼り方

販売名:アイオバン スペシャル インサイズドレープ 一般医療機器 単回使用汎用サージカルドレープ 届出番号:13B1X10422000229

一人がフィルムの両端部を持ち、もう一人が「Stop」マークのところまでライナー紙を剥がします。

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貼付位置を決め、少したるませて、中心から外側に向かって皮膚に貼付していきます。

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滅菌タオル等で、しわが入らないようにしっかり圧着し、ライナー紙を全部剥がします。フィルムを引っ張り過ぎて皮膚に緊張がかからないように注意してください。

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3M™ ユニバーサル プレート セーフティリング付の貼り方

販売名:ユニバーサル プレート 管理医療機器 処置用対極板 認証番号:21000BZY00288000

対極板のライナーを剥がし、対極板の端を密着させます。

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皮膚を引っ張らないように気を付けながらゆっくりと端から撫でるように貼付します。

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最後に、しっかりと密着させるように中央部から外に向かって撫でつけます。

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3M™ アイオバン™ インサイズドレープ(紙ライナータイプ)の剥がし方

販売名:アイオバン スペシャル インサイズドレープ 一般医療機器 単回使用汎用サージカルドレープ 届出番号:13B1X10422000229

創縁部の周辺(約2~3㎝)のフィルムを剥がし、切開創を縫合します。

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粘着部を180度に折り返し、滑らせるようにしてゆっくりと剥がしてください。粘着境界部を手で押さえるなどして、皮膚に緊張をかけないように注意してください。

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粘着面から上方へ垂直に引っ張らないでください。皮膚が持ち上がり、表皮剥離の原因になります。

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3M™ ユニバーサル プレート セーフティリング付の剥がし方

販売名:ユニバーサル プレート 管理医療機器 処置用対極板 認証番号:21000BZY00288000

対極板の縁を指の腹で剥がし、少し持ち上げます。

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手で剥離方向と反対方向に少し引っ張るようにして皮膚が持ち上がらないように押さえながら、ゆっくりと180度方向に返します。

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そのまま最後までゆっくりと剥がします。

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被膜剤や剥離剤による追加の対策

医療用粘着製品により皮膚トラブル対策には、貼付前の対策に「被膜剤」、剥がす時の対策に「剥離剤」があります。必要に応じて適切なスキンケア製品を使用してください。

〈貼付前の対策〉被膜剤

被膜剤は皮膚の上に薄い被膜層を形成します。
その上に粘着製品を貼付した場合、剥離時にはその皮膜が角質細胞の代わりに剥がれるので、患者自身の角質細胞が剥がれることを防ぎます。
*使用対象:サージカルテープ、カテーテル固定用ドレッシング材、ドレープ(オイフ)など

※注意点
皮膚上に膜ができるので、対極板など電気信号や電流を通すことを目的とする製品との併用は避けてください。特に対極板については熱傷のリスクがあるため、絶対に使用しないでください。

被膜剤未使用時の粘着製品剥離時のイメージ画像です
被膜剤使用時の粘着製品剥離時のイメージ画像です
〈剥がす時の対策〉剥離剤

剥離剤は、大きく2種類に分けられます。
一つは、オイル系のはくり剤です。オイル系は、粘着剤に溶け込んで柔らかくし、粘着力を弱めることで剥がしやすくします。剥がしたあとはオイルが皮膚に残りますので、石鹸や清拭によってそのオイルを除去する必要があります。
二つ目はシリコーン系のはくり剤です。
シリコーン系は、薄く広がりやすい特性を活かし、粘着剤と皮膚の間の僅かな隙間に染み込んで粘着製品を浮き上がらせて剥がしやすくします。剥離後もほとんど皮膚に残らないので、かんたんな清拭で除去できます。
*使用対象:期間内挿管チューブ固定テープ、電極、対極板、ドレープ(オイフ)など

シリコーン系剥離剤の使用イメージ画像です

シリコーン系剥離剤のイメージ図

安全にお使いいただくために 使用時の注意点

アルコール含有製品と同様に、3M™ キャビロン™ 非アルコール性皮膜や3M™ キャビロン™ 皮膚用リムーバーには揮発性の溶剤成分が含まれています。PMDA医療安全情報にあるように、乾燥が不十分だと引火する可能性がありますので、特に電気メスなどの取扱い時には、しっかりと溶液が乾燥したことを確認してください。

手術室での被膜剤・剥離剤選択のポイント
手術室での被膜剤・剥離剤選択のポイント一覧表です

*電気的特性に影響: 被膜を使用することで電極等モニタリング製品においては信号に影響、対極板等においては導電性に影響が考えられるため
注意)引火性のため火気類の近くでの使用は避けてください。

販売名:キャビロン 非アルコール性被膜 ワイプ 一般医療機器 液体包帯 届出番号:13B1X10422000147
販売名:キャビロン 非アルコール性被膜 スプレー 一般医療機器 液体包帯 届出番号:13B1X10422000148

院内教育・勉強会資料

看護手順の標準化には、知識の標準化が必要です。そのためには、スタッフへの継続的な教育が欠かせません。ソルベンタムでは、院内教育・勉強会などでお使いいただける動画資料をご用意しております。

A nurse and a doctor, review results together on a tablet in a healthcare setting.

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製品に関するよくある質問をQ&Aで掲載しています。

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